迷探偵登場!?(4)

マスコミが騒ぎ始めた。

問い合わせの電話が私の所にかかってくる。正直うっとおしいが、下手に対応すると
あること無いこと言われて余計面倒なことになるので、適度に情報を流して追い返す。
首無し、連続殺人と今回の事件は話題性があるので、彼らの興味も高いのだろう。

大きな事件の場合、必ず対策本部が設置され、関係部署の人間が集められる。
活発な意見がやりとりされ捜査方針が決まる・・・ワケではない。基本は上意下達だ。
自分の意見が捜査方針として採用された場合、それが間違ったいたら責任を取らねば
ならない。そんな賭をする酔狂な奴はあまりいない。求められれば自分の専門分野に
関する意見は言うが、捜査方針には口出ししない。それが慣習だ。

私は無役なので、守るモノは特にない。相手が署長だろうが、警視正だろうが関係
無く、意見を言える。流石に警視総監への意見は躊躇するが、それ以外には思った
ことを言う。そうしないと会議の意味が無くなるからだ。

ちなみに対策本部での私の役割は「書記」だ。対策本部長が開始の挨拶をした後、
現在の捜査状況を報告し、その後は議事録をとる。会議中は白板の前で立っている
ことの方が多い。書記は会議の決定事項を簡潔にまとめながら記述する必要がある。
そのため、会議内容を十分に理解していないと務まらない。白板に書き込みをしつつ、
耳で会議の流れを聞き、何を書いて何を書かないかを頭で判断する必要がある。
マルチタスクが要求される。シビアな役割だ。(そろそろ誰かに変わって欲しい・・・)

書記が下手だと会議の流れを止めてしまったり、後で他の人が議事録を見ても何が
書いてあるか理解出来ず、出席者に問い合わせたりと余計な手間が生じることになる。
ちなみに私は他人の白板議事録は殆ど読まない。落書きにしか見えないからだ。
必要なら直接担当者に話を聞く。その方が情報の信頼性が高いし、間違いが無い。

書記をしていると、そのまま議事進行役を兼ねることになる。板書のため、白板の前の
席に座ると、位置的にはほぼ議長席なのだ。署長の向かい席になる。対策本部長は
末席に座って、目で「お前が進行役をしろ」と言っててくる。やれやれ。

今回も対策本部が設置され、捜査方針はほぼ固まった。後は力仕事で何とかする
つもりらしい。私は満足していないが、一担当者の意見だけではどうにもならない。
というか、今回は私の欠席した会議で捜査方針が決まった。そうゆう場合もある。

九州の連続通り魔事件、名古屋の密室殺人事件、いずれも少し前にマスコミを騒が
せた事件だが、まだ解決したワケでは無い。捜査が山場を超えただけだ。後処理は
まだまだ残っている。現地との直接会議も定期的に続いている。時間は無限にある
ワケじゃない。全部に出るのは不可能だ。

ちなみに最近は電話会議というのもある。電話をマルチにつないで、それぞれの場所に
居ながら音声だけで会議するというものだ。出張費用と移動時間を無くすことが出来る。
相手が海外の場合は重宝するが、私は嫌いだ。

会議は情報戦だ。相手の表情、目や手の動き、持参してきた資料の量、体格、服装、
雰囲気、歩き方、身のこなし。全て必要な情報なのだ。話し方、口調、話すスピード
だけでは、1割程度しか現在の相手の状況を知ることが出来ない。

相手を知り、己を知ること。それが出来なければ、会議を乗り切ることは出来ない。
肉体的にも精神的にもタフであることは最低条件に過ぎない。出来て当たり前だ。
それで金を得ているのだから。

私は歪んでいる。難事件を喜び、過酷な環境における自分の状況を楽しんでいる。
首無し連続殺人・・・被害者には悪いが、私はこの事件を歓迎する。犯人は必ず挙げる。
二度と同じ事件を起こさせないために。模倣犯も許さない。同じ事件に興味は無いから。

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